MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-
「頭痛薬ならホラ、ここに。ていうか離れろバカ兄貴」
リナはtaskさんを引き剥がすと、制服のスカートから薬の箱を取り出した。
「あ、持ち逃げしてやがったな」
「うるさい二日酔い。偏頭痛持ちはツラいのよ。あ、充上がって」
玄関で呆然と突っ立っていた俺に気付いたリナは、振り返って微笑んだ。
恐ろしく美しい兄妹。
勧められるがままにリビングのソファに座らされ、リナがコーヒーを淹れている間、俺は何故か隣に座っているtaskさんの執拗な視線に居心地の悪さを感じていた。
「身長どれくらい?」
「今年測った時は178でした」
「ふーん。じゃあ180くらいはいくかもな。しっかし細いね」
「いやいやtaskさん程では…ていうか、taskさんって本名ですか?」
「そう。ニンベンに右って書いてタスク」
『佑』
メモ帳にサラサラと書いて見せてくれる。
洒落た名前もあるもんだ。
「タスクさんは…」
「タスク『くん』でいーよ。それか、お兄ちゃん」
「…タスクくんは、リナと血がほとんど繋がってないんですよね?」
「そうそう。リナの母方の遠縁なわけ。引き取り手が無かったから俺が引き取ったわけ。保護者兼お兄ちゃん。しっかし君は」
普通、聞きづらいことをサラッと聞いたね。
クックと喉を鳴らして笑う。
「いーね。充くんだっけ?中身も気に入った」
この人の『お気に入りポイント』はどこなんだろう。