涙の足跡


 つい、怒鳴ってしまった。

 親友の奈々に。
 1番分かってくれてる奈々に。


 でも、しょうがないじゃん。
 思い出したくないんだもん。



 あの日を―――。
 

 あの人を―――。



そして私たちは下駄箱を出て
 アイツがいる人だかりの向こうにある
 門を目指す。



 「夏希。大丈夫だから・・・
  私が傍にいる。」



 『そんな、大袈裟に言わなくても
  大丈夫だよ。
  ただ、ぁの人だかりの横を通り
  すぎればいいだけなんだから。』




 その言葉に納得したか、
 奈々は握りしていた手の力を緩めた。



 私と奈々は握り締めている手を

 離すことなくアイツの真横を通る――


 ふんっ。こんなのどおってことない。
 こんなのへっちゃらだよ。



 コイツとは・・・もぅ終っているんだから


 でも、、、、



 

 「待てよ・・・」




 通り過ぎた後、

 そんな声が後ろから聞こえた―――











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