涙の足跡


 この人何で心配そうに私を見てるの?

 私・・・なんか変?


 「えっと、その聞いてますか?
  コレで涙拭いて良いですよ。」


 手渡された水色のハンカチ。

 そしてそれを差し出してくるのは
 私と同じ歳ぐらい。

 

 ぃや、でも…
 聞いてるけどなんでハンカチ?
 涙って、何のこと??


 『その、涙とか出てないし。
  私泣いてないもん・・・』




 心配そうに見ているこの人さえ、
 やっぱり怖いと思ってしまう―――。

 でも、、、

 
 「気づいてないんですか?
  夏希先輩、泣いてますよ?」



  そう言って、私の瞼を指でこする男。

  私、気づかないうちに泣いてたんだ。
  真樹ごときで泣くとかバカじゃん!



  ・・・・・ん?でも、

  今、この人“夏希先輩”って言ったよね。
  もしかして同じ学校の人?



  『私の名前・・・。』




  「ぁあ、さっき先輩と一緒にいた人が
   呼んでたから...」



   

   だよね。
   私のことなんて知ってるわけがない。
 
   会ったのだって
   今が初めてなんだから

 











< 19 / 28 >

この作品をシェア

pagetop