涙の足跡
★年下
________
「先輩、もぅ大丈夫ですか?」
流していた涙は、
もぅすっかり止まった―――
そして、抱きしめられていた腕も
いつの間にかほどかれていた。
『ありが、と。
その..コレちゃんと洗って返すから。』
そう言ってさっき手渡された
水色のハンカチを丁重にたたみ、
ポケットに入れた。
「えっ、いいですよ!
別に洗って返さなくても…」
『いいの。これ使っちゃったから…』
私の言葉に、
「そうですか…ありがとうございます」と
答えるコイツ。
あっ、そういえばコイツの名前聞いてなかったよね?
一応聞いとかないと!!
『そういえば名前、まだ聞いてない。』
その言葉にハッとした顔をする。
「あっ、すんません!
俺1年の朝霧翔夜っていいます」
朝霧翔夜?
1年なのは敬語から分かるけど・・・
名前は知らない。
『そっか。さっきはありがとう。
私…そろそろ帰るね。』
一応名前聞いとけば、このハンカチ
返せるよね??
「はぃ、先輩気をつけてくださいね。」
そう言って、
翔夜は元来た道を帰って行った。