涙の足跡
「ほら、夏希っ。早くしないと
サンドイッチ売り切れちゃうよ!」
私の所に戻ってきて腕をひっぱる
奈々・・・。
『分かってるけど・・・
ちょっと、先行ってて。』
その言葉に奈々は腕をほどき、
私から離れる―――
そして「分かった!」と言い、
購買へ向かった
私は、サンドイッチよりこっちが
大切なの!
向かった先は、
すぐ横にある自動販売機。
私はいつもフルーツオレを飲むの。
『えーっと、120円はっと。』
小銭袋から120円を探すけど・・・
『はぁっ?ないしッ!10円足らないし!』
持ってきていたはずの120円分が
なかった。どうしよ―――。
お昼は絶対これがないと駄目なのに
「はいっ、夏希ちゃん!10円あげる♬」
いきなり、顔の横から手が出てきて私に10円を渡す。