↑恋人以上≧恋愛未満↓
劇場の方からは
海の声が聞こえる。
劇団「北斗」はミュージカルを中心に活動してる。
海は歌が上手くて
ダンスが得意なんだ。
客席に座るとわたしは海の姿を見つめた。
見慣れた風景なのに
なぜかいつもと違って見える。
海の声が
動きのひとつひとつがわたしの胸をときめかせた。
そんなわたしに気づいた海が動きをとめる。
「葵?」
そういうと稽古を中断させた海が
ひとりぽっちの客席に近づいて来る。
「..また避けられると思った。」
少し照れ臭そうに目を反らしてはにかむと
「すぐ片付けたら行くから。俺の部屋で待ってて。」
そういう海の額から顎から流れる汗が
キラキラと光ってとても美しかった。