ガリーとあたし。
5.青山君。


「あ、『シバさん』だ」


今日は図書室に行こうかな、いや普通に帰ろうかな、なんてぼんやり廊下を歩いていると、誰かの呼び声。

シバさん、なんて呼ばれるのはあたしくらい。

でもそう呼ぶのはガリーだけ。

でもこの声は、ガリーのじゃない。



振り向くと、そこには彼の友人、青山君。


「なにしてんのー?」


「……いや、べつに」


へらへらとしてるような、そんな笑顔を浮かべながら青山君があたしに話しかけてくる。


なんだこの人、あたしとほとんど初対面なのに、なんかなれなれしい。

ひとなつっこいってこういう感じの人のこと言うのかな。

だから人気者なのかな、でもあたしはそういうの苦手。
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