ガリーとあたし。
ガリー、というあだ名を、ガリーは不快に思わなかったみたいだった。

安心。

ちょっと気が抜ける。


「小学校からそんなんだったって聞いた」


「そんなん、って?」


「毎日授業ムシした勉強ばっかしてたって」


「ああ……」


ちょっと可笑しそうに、でも控えめにガリーが笑う。

ちょっと上品。


「楽しいの?」


「楽しいよ」


カリカリとシャーペンを走らせつつ、ガリーが答える。

そう言えば日誌、あたし全然書いてないや、と今更申し訳なく思う。


「何が楽しいのか、あたしはちょっとわかんないなぁ」


「そうだろうね」


あっさりと答えるガリーの声。

口調が柔らかくて、イヤミっぽくはない。



でも、遠いな、と思う。
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