ガリーとあたし。
「ちょ、痛いんですけどガク」


「いや俺もさ、耳があるとつかみたくてさ」


つかんだ耳を引っ張り始めるガリー。


「いた、痛い痛い、ちょ、痛いって」


「なんかさー、前に何かで見たんだけどー」


ぎりぎりぎり、という音が聞こえてくるような気がする。


「ちょ、いて、何、それは耳をつかんでないと話せない内容? いててて」


「昔の人って、弓を射る時にさー、間違って耳に弦引っ掛けちゃって、そのまま耳吹っ飛んじゃったりしたんだってさ」


握っている手にひねりをくわえながら、ガリーが青山君の耳元でそんなことを笑顔で言う。


「うぉおおおお! 何それ怖い! やめて!」


「耳って結構簡単にちぎれちゃうみたいなんだよね……ほんとかどうかちょっと試したくて」


「や、やめて! やめてくださいガクさん! ガク様!」


「あ、逃げると余計危ないよー」


「わかってるなら離して! お願い!」

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