短編集
道化師の真顔
「形のないものとはなんでしょうか。


何故、見えないのにあるとわかるのでしょうか。

私には、大した違いに思えません。


悲しい

嬉しい

楽しい

恋しい

愛しい

友情

愛情

切ない

寂しい

憎い


そういったもの全て、どう分けているのですか。

私は楽しくないのにも関わらず微笑んでいますが、それは楽しいに入るのでしょうか。



わからない。」


道化師は、瞳から水を滴らせ静かに笑っていました。

「私を見て、笑う人がいます。

私はただ、笑いながら失敗するだけで道化師の役割が果たせます。

他人の失敗を笑う事が、楽しいのならば」

人間は悪夢でしょう?


(そういって彼は、舞台を降りて行きました)
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