短編集

機械仕掛け

怖い

わからないのは、怖い。

私の中の臓物も
吸っている空気も
食べている食物も

結局のところ何なのでしょうか。


どうして私の指は動くのでしょうか。
指を動かそうと脳が考えて
それが神経を流れて筋肉を動かすのであれば、
私が見ている全ては過去なのでしょうか。




血管に空気を注射すれば死にます。

ずっと水に浸らすと腐ります。

暑いと熱中症で倒れます。

エレベーターのないアパートの階段にピアノ線を仕込んで置けば、

手摺に何かを塗った画鋲を仕込んで置けば、

誰かはひっかかるでしょう。


簡単な思考は皆同じ。

だから怖い。


自分の体の仕組みを知らないのは、
人間がどうすれば壊れるのかを知らないという事。

私は仕組みを知らなければならない。

恐怖に慣れるなんて

それがいやで。


(そう言った銀色の、冷たい君は)

(バッテリーが切れて遠いところへ行ってしまいました。)
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