あいつのお気に入り
―パシッ
手首をあいつに掴まれる。
もう今度は何!?
「離してよ」
振り返り、今度はあたしが男を見下ろす。
「ゴミ捨て場。アッチだからね」
表情一つ変えず言う男。
あ、忘れてた。
何でこんな奴に指摘されなきゃなんないのよ!
自分が情けなくなってくる。
クルッと回れをしてゴミ箱をズルズルと引きずりながら、ゴミ捨て場へ向かう。
背後から、
「マジ面白いね、花ちゃん。じゃあな」
男がははっと笑いながら去っていった。
…。
男が去っていった後のゴミ捨て場。
「最低ーー!っさいっあく!!」
そう叫んでいた。