あいつのお気に入り
「沙羅?聞いてる?」
一人考えてたあたしは夏揆の声で我にかえる。
「ごめん。名前だっけ?」
確か…確かあの亜紀って呼ばれてた女の人はあいつの事「れん」って呼んでた気がする。
「れん、かな…」
あたしの言葉を聞いた夏揆は飲んでいたウーロン茶を吹き出しかけた。
「れんって…。あのれん?」
あのれん?って聞かれてもあいつに面識の無いあたしはどうも答えられ無い。
でもれんの前に「あの」が付くくらいなんだから有名なのかな…。
「沙羅、もしかしてそれって矢吹蓮(ヤブキ レン)じゃない?」
ヤブキレン…?
知らぬ名前に戸惑うあたし。
「容姿淡麗で女癖悪くて有名だよ」
「へぇー。
知らなかった!」
でも、あんな現場見たら女癖悪いと言うのも間違いじゃないかも。