あいつのお気に入り
あたしの入ってる委員会は美化委員で、仕事内容の一つにゴミ捨てがある。
ゴミ捨てなんてその日の日直がやるのかと思ってたけど、案外ゴミ捨て場までに距離があって、美化委員が担当する事になっていた。
週に二回ある内の今日は北山さんが担当だったんだけどあたしに変わったって訳だ。
「夏揆〜!」
次の授業のノートまとめをしている彼女に声をかける。
「どしたの?」
ノートに走らせているペンを一旦止めてこちらを向く。
さっきの事を夏揆に話す。
「だから、あたしちょーーっと遅くなるかも!」
そう告げると、
「じゃあ、待ってるね」
一言そう言うとまたペンを取りノートまとめをし出した。
「うん!ごめんね!?すぐ、超特急でマッハで済ませてくるから!」
「マッハって」
マッハにツボったのか、マッハ、マッハって言いながら笑ってる夏揆。
「うん、マッハだよ!」
あたしも笑いながらガッツポーズをしたら、タイミングよくチャイムが鳴った。
休み時間終了の鐘だ。
名残惜しくも夏揆との会話を一時中断させて自分の席についた。
この頼みを引き受けたゴミ捨てが最悪な出逢いになろうとも知る由も無く…。