Do you know YOU!?
<5>

あたし何かおかしいのかなぁ?

確かに精神的に病んでいることは、分かっているのだけど。

両親に殴る蹴るとかの暴力を受けることはしょっちゅうで。

まだそんなに深い付き合いではない男性(12才上)と、食事するなんて初めてなわけで。

だからこの世界は偽物のように感じられたんだ。

「俺はこのハンバーグセット、で、彼女はこのハーフサイズのタラコスパ。ドリンクバーは二人分で」

大きな鐘の音に忙しそうにしていた、仕事に慣れているだろう店員さんが一人やってきて、海さんから注文を受けていた。

「かしこまりました。繰り返させてーーー」

注文の確認をする店員さん。

間違えることも無く、すらすらと読み上げていき、海さんのそれでいいですの言葉に厨房へと引き返していた。

「オーダー入りますーーー(略)」

店員さんの声がキッチンスタッフに注文の品の名前を言っていた。

「それにしても、今日は人が多いよね。俺、平日だからもう少し余裕があるかと思っていたんだけど。人ごみが苦手でさ」。

その一言にはっとした。

そうだ、自分から誘っておいて、なんで相手に苦笑されているのだろう。

あたしのバカバカバカー。

もう悩むのなんて面倒だ。

今を楽しもう、せっかくの初めての二人きりの時間なのだから。

今は怯える必要は無いのだから。

ここは自分の家とは違うのだから。

だから大丈夫なのだと、自分に言い聞かせていた。
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