Do you know YOU!?
<3>

心の中は海さん一直線に向かっていた。

いつの間にか、恋心から愛へと変貌していたらしい。

海さんが構ってくれるのが嬉しくて、そしてあの日、初めて、貴方の家に行ったのだったね。

親の虐待が続くことに慣れてしまっていたあたしだったけど、海さんと居るときだけは、忘れられていた。

会うのは大抵、仕事終わりの夜や、予定が埋まっていない日曜日だったりした。

あたしもバイトを調整しながら、海さんとの曖昧な関係のままで居た。

告白して断られてしまったら、この関係は続けられないと思った。

正直、心の中が海さんに傷つけられることを拒んでいた、逃げていたんだ。

海さんは透明だったり、灰色だったり、日毎(ひごと)にオーラの色が変わるのは分かった。

そして、何かを見せまいとするかのように。

口付けられる、会う度に。

そうすることで、あたしの意識をそらすかのように。

ドキドキのほうが強くて、あたしは目隠しのまま、海さんと会っていたんだ。

その不振な態度に蓋(ふた)して、不安定な関係のままでいた。

心の中は疑心暗鬼に陥(おちい)りそうになっていたけれど。

あたしの光は、貴方だけでした。
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