Do you know YOU!?
<5>


ぴろりん ぴろりん。

「ん・・・ん???」

あたしの携帯の着信音が鳴っている、気がする。

あくまでも気がする。

頭がぼうっとしていて、何も考えられなかった。

なんで、あたし、携帯・・・?

ゆっくりと開いていく瞼(まぶた)。

左手に持っていたのは、紛(まぎ)れも無く、自分専用のもので・・・。

「ああーーー!???」

がばっとベッドから起き上がると、辺りを見渡す。

もう既に藍色の夜空になっていて、明かりはついていなかった。

部屋においてある時計を見る。

午後八時半。

海さんからのメールを待っていたら、自然と眠ってしまっていたのだった。

「うわうわうわ、どーしよう!?てか、そうだ、メールは?」

かなりのテンパり感で慌てて、携帯を右手に持ち替えて、ぱちんと蓋を開ける。

返信メールが一通だけ返ってきていた。

それは午後六時半のメールで、海さんからのメールだった。

あたしはどうやら、うっすらとメールの着信音が鳴っていたが、意識が朦朧(もうろう)としていたようだ。

「はぁぁぁ・・・やばいよぅ。。。」

少しダークブルーな気分になって、メールを読んだ。

内容は質素なものだった。

「ごめん、今日は会えない。用事があるから」。

一瞬時間が止まったような気分になる。

そして・・・。

「あーーー、良かったーーー。タイミング悪くて。今度から迂闊(うかつ)に眠れないな」。

あたしは安堵した。

もしかしたら、海さんを待たせてしまっていたからかもしれなかったからだ。

ま、また今度の機会でいいや。

そう思うことで、あたしは芽生えつつあった少しの猜疑心を押し殺したのだった。

用事の内容に不思議を覚えてはいたのだが。


< 27 / 31 >

この作品をシェア

pagetop