Do you know YOU!?
<3>



「おはよーございます!」

急いで支給されているエプロンを纏い、滑りにくいサンダルに履き替える。

「おー、おはよー」とか「おっはー」とか「速めに準備してね」の言葉に返事を返して。

あたしはバイトを始めるのだった。

この日は水曜にも関わらず、団体客の予約が入っていた。

だもんで、早めの下準備をしておかなければならない。

カウンターと座敷の用意をして、付け出しの用意もしつつ。

ぞくぞくと入ってくる団体客。

てんやわんやなバイトの日だったのは間違いなかった。

飲み物の注文をしっかり聞き終えると、すぐに準備する。

3000円のコース料理だから二時間は生ビールやカクテルなど呑み放題なので、沢山の注文を聞かなければならない。

それに一斉に頼むものだから、注文が混乱するときもあった。

一息つくと、時間は既に、午後九時になろうかとしている処だった。

あまりあるとは言えない体力を使い果たしたため、ついついぐったりとした表情になってしまった。

それをくすくす笑いながら、小声で話しかけてくるお客さんが居た。

「あははは。働くのって大変だよね。君でもそんな表情することがあるんだね。なんか面白いものが見れたよ」。

落ち着く温かいオーラを身に纏う、それは海さんだった。

「海さん!?」

ずっとせかせかしていたものだから、カウンターの席に座っていた海さんに気付くことに遅れてしまった。

というより、いつの間に来たのだろう。。。

本当に分からない、ミステリアスな人だった。

「今晩、時間空いてるけど、うちに遊びに来る?」

海さんは声を潜めて、あたしの耳元でそっと囁く。

こ、こんなのは不意打ちだよーーー。

胸の中がいっぱいいっぱいで、両親から受けた傷の痛みなんて忘れてしまうくらい。

あたしは貴方を想いました。

それは本当だったよ、本当だったんだよ。。。




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