Do you know YOU!?
<4>

え、い、今、なんて言ったの?

海さんが招いてくれた、海さんの借りているアパートに。

心拍数が一気に激しくなる。

そんなの反則だよ、海さん。

ほ、本当に行っていいの・・・?

小さな声でそっと囁いた。

「勿論構わないよ。何も無いことだけど。それとも俺んちに来れないんかな?」。

なんて苦笑してみせたけど、あたしは首を縦に振って、行くとぽつりと告げて、バイトを再開したのだった。

内心、喜びでいっぱいで、自然と自然な笑いをしながら、接客をこなしたのだった。

いい感じに落ち着いてくると、あたしは賄(まかな)いを食べて、午後10時過ぎに、バイト先の表で落ち合った。

自転車を押しながら、海さんとあたしはなんとなくお互いに気になっていたプライベートなことを質問していた。

あたし的には答えられないことが多かったのだけれど。

ゆったり歩く、海さんとあたし。

緩い坂を上り下りしながら、途中、コンビニに寄った。

「ここからまだ歩くんですか?」。

徒歩五分過ぎてから、あたしは海さんに尋ねた。

「そうだねー、あとはまっすぐだから、このペースで行けば10時半には家に着くよ」。

と、簡単なつまみと、オレンジジュース(あたし用)のペットボトルと珈琲(海さん用)ペットボトルを買って。

コンビニを後にしたのだった。

「海さんちってどんなだろうー、ちょー気になるし!」

「んー・・・俺的には普通なんだけどね」。

「いいやー、男の人の普通って信用できないよー」。

「まぁ、ちらかってはいるけど、悪臭が漂うとかは無いから安心してよ」。

いつもどおりの自然な会話になっていた。

まだ会ってから一ヶ月は経っていないに違いないのに。

なんでこんなに信頼できるのだろう。

暗い夜の明かりにともる一軒一軒を眺めながら、夜空を比べていた。

星の光のほうが少し負けていた。

人工の光のほうが勝ってしまっていた。

そんな時に、海さんが少し薄暗いアパートを指差して、言う。

「あそこが僕の住んでいる場所だよ」と。


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