Do you know YOU!?
(2) 両親との関係
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あたしの親は、居るには居るけど。。。

あたしは仲が良くない二人の間に板ばさみになっていた。

少し精神的に病んでいる母親からも引っ張られ、呑んだくれの父親からも引っ張られている、そんな環境で、二人の共通点があった。

それは「勉強しろ」という言葉の圧力。両親はどちらも大学には通っていないらしい。

(証拠がないので分からないのだ、嘘なのか、本当であるのか。でも、そんなこと知ったことじゃないけれど)。

二人が望んだことは大人しく自分に従えという暗黙の了解。

否定しようとすれば、直ぐに怒鳴られて、頬を叩かれる。

それが当たり前で、それが家族なのだとあたしは思い込んでいた。

近所の人や友人に少しでも褒められたい、口が軽く、体裁ばかりを気にしている母親。

家庭内のことなど省みないで、いざ勉強のことになると、常に高み目指せという完璧主義の父親。

そして、毎日のように喧嘩していた二人。

全部を自分のせいではなく、相手のせいにして、あたしを駒のように動かしたがっていた。

そんな環境で育ったからこそ、期待に沿(そ)わなくちゃという強迫観念めいた思いがあたしの内に強くあったらしい。

気付けば、逃げるようにして入った大学をすぐに中退していた。

精神的に何もかも病んでどうすることも出来ない状態になっていた。

そんなあたしを、母親は強く罵(ののし)った。

近所に顔向けできないと、情けないと、嘆いていた。

酒を呑みながら、父親は、中退したあたしに怒鳴ってきて、両の頬にビンタをかまされた。

何度も何度も真っ赤に腫上がるまで。

「お前のためにどれだけ金を使ったのか分かっているのか!!」と。

繰り返し、繰り返し、そこらへんに落ちているものみたいに、殴られたり、蹴られたりした。

痛いと思う間もないほど。気絶することなんてしばしばあるくらいだった。

母親はあたしに向けてではなく、テレビに向けて、あたしへの強い怒りを、独りでぶつぶつと呟きつつ、リビングで時折あははと笑っていた。

その眼には何も映っておらず、何も視えては居なかったようだ。

こんな家庭に育ってしまったあたしは、生きる価値なんて無かった。



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