最後の恋(実話)
出会い
ジャズのかかる少し落ちついた店に、彼は入ってきた。

この店にライターを納品していて、普段は部下が一か月間隔で顔を出すだけだが、彼は一年ぶり位に顔を出しに部下と来ていた。

部下の名は、黒田さん。
彼の名は…早川さん。
「いらっしゃいませ。黒田さん」

私はその店で働くホステスだった。源氏名は香凜。

入店して半年たっていたから、黒田さんとは顔見知りだ。

香凜「はじめまして。香凜です。」

早川「あたっす!綺麗な方ですね」

黒田「香凜ちゃん、こちら自分の尊敬する早川さんです。」

香凜は、随分酔ってるなという印象だった。
実際あまり会話にならず、カラオケ三昧だった。

閉店後黒田さんにカラオケに誘われた。

黒田「カラオケいきませんか?お願いします!」

香凜はちょっと戸惑ったが、手を合わせて頼まれたので、承諾した。
朝5時まで3人でカラオケをして別れた。

接客中早川に名刺を欲しいと言われて渡したが、その後早川から連絡はなかった。

それから二回目早川は来店した。

早川「うちの会社で新事業部を立ち上げるので、会社入りませんか?」

香凜「ほんとですか。是非」

香凜はこの世界によくある酔った時の話だと聞き流していた。

実際香凜も就職は探していた。若くして子供を産み結婚したはいいが、お金がなく生後半年の子供を預けて夜の世界に入ってきて三年。子供のためにも昼間就職がしたかった。

夫はいたが、バイト生活で家計は苦しかった。
香凜が夜の仕事をするしかないと相談した時も、そのまま三年たっても夫はバイトのままだった。

私が就職しないと…そう香凜は思ってもいた。

それから半年位たった頃。就職先が決まらない香凜は、お酒の上での話とは思いつつ、早川の部下黒田の連絡先は知っていたので相談してみた。

数日後、早川と会って軽く面接をして就職が決まった。

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