gift
彼方への贈り物
「空に飛んで行って、
ありがとうを伝えてもらうために
俺は羽根を広げてやるんだ・・・」

わたしは、ボーッとしながら勇真の言葉を聞いていた。
勇真は、さっき作った17羽の鶴の羽根を、全て開いて青空に放した。


「・・・・千羽には全然たりないじゃない」


風に乗り、クルクル飛ぶ鶴の中に

一羽だけ、ヨレヨレでシワくちゃの鶴がいた


「ねぇ勇真。千羽届いたら、勇真はいなくなっちゃうの?」


そんなのは嫌だ。そんなのは、寂しい。(それはどっちが?)


「・・・・・!」


勇真は大きく目を見開いた。
開きすぎて、目がこぼれてしまいそう。


(考えたコトなかったってカオ!)


わたしは勇真の手に、そっと自分の手を重ねた。


「わたしは、もっともっともっともーっと!勇真と一緒にいたい、」


「だから、」


足手まといのヨレヨレのシワくちゃの鶴を折ろう。


「これからずっと一緒に
鶴、折る」


勇真の手が、震えてる。
少し高い所にある顔を見上げたら、唇をゆがめて笑ってた


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