僕等の在り方
序章:淡雪
“merry X'mas!!”
聖夜を告げる12時の鐘。
クラッカー鳴らして。
盛大に馬鹿騒ぎ。
シャンメリを開けて。
御馳走食べて。
それらの時間が嘘のように。
今ではしんと静まり返っている。
サク。
サク。
サク。
ゆっくりと歩く帰り道。
サクッ。
サクッ。
サクッ。
少し辿々しい。
軽く足早に後を追う音。
静寂に響く二つの音。
世界にたったそれだけのような錯覚。
何とも心地のいいもので。
「―…っ、くしゅっ!」
不意に響いたくしゃみに。
静かに振り返った。