僕等の在り方
序章:淡雪


“merry X'mas!!”


聖夜を告げる12時の鐘。

クラッカー鳴らして。
盛大に馬鹿騒ぎ。

シャンメリを開けて。
御馳走食べて。

それらの時間が嘘のように。

今ではしんと静まり返っている。


サク。

サク。

サク。


ゆっくりと歩く帰り道。


サクッ。
サクッ。
サクッ。


少し辿々しい。
軽く足早に後を追う音。

静寂に響く二つの音。

世界にたったそれだけのような錯覚。

何とも心地のいいもので。


「―…っ、くしゅっ!」


不意に響いたくしゃみに。
静かに振り返った。
< 1 / 14 >

この作品をシェア

pagetop