僕等の在り方


――ピンポー…ン


インターフォンが鳴る。

人に会いたい気分じゃなかった。
八つ当たり、してしまいそうで。



――ピンポンピンポンピンポー…ン



無視、し続けようと思ったのに。
しつこいくらいの呼び出し。

鬱陶しい。


「はい!?」


ぶっきらぼうに扉を開けた。

同時に額に痛みが襲う。


「電話、無視すんな。っつーか、電源落とすな」


少し不機嫌な口調で、そう言ったのは。
メールの送信相手。

一番、会いたかった人。


「―~…っ!そっちこそ、メール無視すんなっ!」


叫んで。
扉を閉めようとする。

泣いてしまいそうになったから、顔なんて見られたくなくて。

その想いも空しく。
足を入れられた扉は閉ざすことはなかった。


「急にバイト入ったんだって」


「だったら言えっ!」


我ながら無茶を言う。
でも、そんなことしか言えなくて。


「ごめん、悪かった」


それすら解かって。
謝罪を言う目の前の男が憎たらしい。

自分が子どもだと思い知らされる。

にっこり笑って。
「これから出かけよっか」なんて言われて。

不機嫌な顔をしながら機嫌が良くなってる自分が嫌。

でも。

春休みの始まりはいい日。
そう思ってしまうのは、やっぱりキミが好きだから。





「春休みの始まりは」 了
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