僕等の在り方
四章:サクラの記憶
桜が咲いた。

ぼんやりと、帰り道の景色を見ていた。
桃色の雪がとても綺麗だ。


「…あ」


「何?」


ふと思い出して。
つい声に出してしまったのを。

隣に聞かれてしまった。


「……や。桜の木の下って、死体埋まってるって噂あったなぁって」


「おま…もうちょい色気のあること言え」


呆れたように言ったその人は。
何処か楽しそうにしていた。


「どうせ色気はないやぃ」


口を尖らせて答えたけれど。
つい、口元が緩んでしまいそうで。

頬に熱を感じた。

本当は、そんなことを思ったんじゃない。
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