僕等の在り方
彼女が深く考えずにそう言っていることは、長い付き合いだ、解からないことはない。
しかし、たまにその言動に戸惑うことを目の前の彼女は知っているのだろうか。

多分、九割五分は解かっていないのだろう。

個人的に、その方が都合がいい。
直してしまったらつまらない。


「…じゃあ、茄子の油炒めとブリ大根にでもしようかな。誰かさんがいつも茄子と大根と葱だけ綺麗に残してくれるから冷蔵庫に居候中なんだよね」


にっこりと口角を上げると、彼女は素早く飛び起きて懸命に首を振った。


「だっ…だめぇっ!!絶対やだ!そんなの、にーさんが一人のときに消費すればいいじゃん!!」


必死になる彼女は、必死になりすぎて頬が紅潮している。


「いいもん!私作るからにーさんは動くな作るな…笑うなっ!!」


「はいはい」


がちゃがちゃと、乱暴に調理器具を出す音。
トントンと、テンポの良い食材を切る音。

定着した何気ない音。
< 4 / 14 >

この作品をシェア

pagetop