白雪姫様と王子様とオモチャ
「泣かれたようですけど、いいことがあったようですね。」


ずっと後ろを見つめたままの私に運転している専属メイドの美夏(ミカ)が言ってきた。バックミラーから私の姿を見ている。


「なんでそう思うの?」


泣いていたのは、きっと涙のあとで分かるだろうケけど、いいことがあったというのはなぜ分かったんだろう。


「黄昏様をほんのり色づいた頬で見ていましたよ。」


美夏はクスクスと笑いながら言った。それがちょっと悔しくて、言い返した。


「夕日のせいよ。」


そういっても、美夏は「意地っ張りですね。」といって笑う。


「黄昏様をみる白様は恋する乙女の表情でしたよ。」


そういわれては、頬を赤くしてしまう。


…顔にでやすいのかな…私…。
< 60 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop