もう、泣くことのない君へ。
哀愁
「…よっし!!」

わたし、雨宮美翔(あまみやみしょう)は、笑うことが出来ない。
思い出しただけでも嫌な、元彼、翠の存在と、ある事件の存在。

わたしは、翠のことだけは絶対に許せない。

わたしの友達を奪っておいて、そして何よりも、わたしが笑えなくなったから。
あいつは、わたしが笑えなくなったことを知らない。

言うつもりなんてない。
それじゃぁ、わたしがここまで来た意味がない。

そう、他人から言わせれば、“逃げてる”ってこと。

でも、逃げ出したいくらい、毎日が苦痛で苦痛で

親が

友達が

翠が

先生が

イヤでイヤで。

だから、逃げ出してきた。

そんな自分も
イヤで。


ここに来たら、もう一度やり直せるんじゃないかって。
一瞬でも思ってしまったんだ。
無理なのに、笑えないわたしが。

そんな淡い期待を持って、わたしは外へと出た…。
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