愛してよダーリン




「きゃあぁあぁあ!!」



お化け屋敷に入って7・8歩くらい歩いたところ、お化け屋敷内にはあたしの悲鳴が響いていた。



尋常じゃないくらいリアルなお化けたちはあたしたちを、


っていうか、あたしを襲ってきた。




どうすることも出来ずに、ただ叫ぶことしか出来なくて、そんなあたしを見て樹は………


たぶんだけど笑ってた。




そんな樹がどんな表情をしてるか、とか他人にまで気が回せるほど平常心ではいられなかった。



だから前を歩く樹の背中にしがみついて、ずっと目を瞑ってた。




お化けがどこからか脅かすように『ぎゃあー!』と叫ぶと、


あたしも同じように恐怖で『ぎゃあー!』と悲鳴を上げた。




「もう少しで出れるぞ」



しばらく歩いてからその言葉だけは聞こえて、やっと出られるんだ、って少しホッとした。



けど、本当の恐怖はこれからだった。



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