愛してよダーリン





「歩いて行くの?」

「だってそれしかないじゃん。誰かさんが自転車貸しちゃうから」

「…うっ」




それに冷たい言い方だとしても、言ってることは正しいから何も言い返すことができない。



紫音にわざとらしい冷たい視線を送られたあたしは、何も言わずに学校に着いてから、紫音にジュースを奢った。



これはいわゆる、暗黙のルールってやつで。



今回の自転車事件は、お人好しなあたしがいけないって、あたし自身も分かっているから、


せめてもの謝罪の気持ちとして、こういうときはいつも何かをあたしが紫音に奢る。




自転車なら20分で学校に着くのに、歩きだとその倍の1時間はかかる。



だから、今日は1時間目の途中に着くことになってしまった。



いつも自分の仕事以外で学校に遅刻したことがない紫音を、今回はあたしのお人好しな性格のせいで遅刻させてしまった。



さらに罪悪感が生まれたあたしは、元々の原因を作った張本人のところに向かうことにした。




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