愛してよダーリン




いきなり何を話し出したのかと思ったら、さっきまであたしが気になってたことだった。




「それって、どういうことですか?」


「奈緒ちゃんの彼氏さん、今日からしばらく遠くにいるんでしょ?」


「…あ、はい」


「それで紫音が『奈緒は絶対今夜寂しくて、余計なこと考えて泣くと思うから、ここに連れてきてあげたいんだけど。いい?』って」




え?


紫音はあたしのこと……心配してくれて、ここに連れてきてくれたの?




前から来たいって行ってた、この撮影してるスタジオに。




「だから、奈緒ちゃんの彼氏さんには悪いけど、今日は彼氏さんのことは忘れて、スタジオ楽しんでって?」




“ありがとうございます”って言おうとしたら、杉本さんは立ち上がってしまって、どこかへと行ってしまった。



言い逃げだ……。




でも、紫音はそういうとこ素直じゃないから、杉本さんが言ってくれなきゃ、そんなこと一生分からなかった。




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