愛してよダーリン




それからは杉山さんに車で家まで送ってもらい、最後の最後まで至り尽くせりな時間を過ごさせてもらった。




まぁ、家まで送ってもらったと言っても、あたしの家は紫音の家の隣だから、紫音と一緒に車を降りてる。




それでも杉山さんにはいつもお世話になってるから、今度会うときはクッキーか何かを作ってお礼にプレゼントしようと思う。





車を降りたあたしは進み始めた杉山さんの車に軽く頭を下げ、杉山さんを見送った。





「紫音!」




自分の家に入ろうとする紫音を、あたしは引き止めた。




「ん?」


「あのね!」


「なに?」


「…ありがと!」




今日は夢にまで見た撮影場所に入らせてもらえて、沙絢ちゃんに会えたし、紫音の知らない顔も見れた。




それに………樹がそばにいない不安を無くしてくれた。




“ありがとう”じゃ足りないかもしれない。

でもそれしか見つからなかった。


だから、心からの“ありがとう”を送りたいって思う。




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