愛してよダーリン





“ガラガラッ”と音をたてて開いた教室のドア。



そのドアを開けたあたしを教室の中にいる人たちが一瞬だけ見る。



一瞬だけ見た人たちはすぐに目を逸らし、個々にしていたことに戻る。



あたしは原因を作った張本人を探した。



………が、その張本人はいない。



最初から教室にいる確率は高くはないとは思っていたけど、


実際いないと、他の心当たりある場所があそこなだけに行きづらい。



自然とため息が出たあたしは、今度は静かに教室のドアを閉めた。


いや、閉めようとしたところで誰かに止められた。




「あっれー?奈緒?」



ゆっくりとニコニコしながらドアに近づいてくる女の子。



その女の子はあたしが閉めかけたドアを開けて、あたしをつま先から頭まで舐めまわすように見てから言った。



「超可愛くなったねぇ!?」




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