愛してよダーリン





あたしと紫音とお母さんの3人で部屋で樹からの電話を数分待っていると、ついに樹から電話が来た。




それは『合格』と騒ぐこともなく樹らしい落ち着いた声での報告で、



それを聞いたお母さんは『ほんっとお前可愛げないね。でもおめでと』と、あたしから携帯を取り上げて言っていた。




実際合格したと報告を聞いて、嬉しい思いだけしかあたしには無かった。




もう自分の中で、樹が引っ越す覚悟が出来ていたのかもしれない。




自然と『よかったね』と、電話越しの樹に言えた。




その日は樹が合格してホッとしたからなのか、早く時間が過ぎていって、あっという間に樹が帰ってくる日曜日になった。




昼に帰ってきた樹は、無理矢理あたしのお母さんにあたしの家に連れ込まれて、


合格したお祝いにとか言って、いつ焼いたのか、クッキーを渡していた。




ここは普通彼女のあたしがクッキーを焼いてあげるところなのに、すっかりお祝いすることも忘れてたあたしは、お母さんに先を越された。




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