愛してよダーリン





「美鈴のクッキー超うめぇ」




お母さんのクッキーを貰いに家に上がった“ついで”に、突然あたしの部屋に入ってきた樹。




樹は昔からあたしのお母さんのことを、名前の美鈴って呼び捨てで呼ぶ。




その理由は単純で、


お母さんがあたしを産んだのが20歳の時で現在36歳と周りのお母さんに比べると若く、あまり年の差を感じないかららしい。




だからって人の親を呼び捨てにするのはどうかと思う。




「てかさぁ」



そう言って樹は最後のクッキーを口に運ぶ。



「なに?」


「なんかないの?」


「え?」




なんかって、何?




すると呆れたような顔でこっちを見てくる樹は、



「合格したんだから、ご褒美みたいのねぇのかよ?」



突然そんなことを言い出した。




え?え?え?


ご、ご褒美っ?!!



「な、ななっ、何言ってっ」



そんなテンパるあたしを見て樹は軽くバカにしたように笑った。




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