愛してよダーリン
「なんかくれよ」
「な、なんかって言われても、何にもないもんっ」
テンパり続けるあたしに『ふーん』とだけ言った樹は、少しだけ黙り何かを思いついたみたいで、
「じゃあさ、」
と始めた。
樹のことだから、何を言い出すか分からない。
だから出来るだけ簡単なことにしてほしい………と心の中で願っていた。
だけど、そうはいかなかった。
少しずつだけど、さっきから樹があたしに近づいてきてる気がする。
あたしは床に座りベッドに寄りかかっていて、樹はテーブルを挟んであたしの向かい側に座っていた。
でも今はもう隣まで来ていて、樹の顔が………近くてドキドキする。
「勝手にもらう」
「え?」
ドキドキしすぎて小さい声しか出ず、樹が何を言ったのか理解出来ないまま、樹は更に近づいてきた。
あたしの床に置かれてる右手に樹の左手が重なる。
そして顔が徐々に近づくと…………樹の唇があたしの唇に重なった。
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