愛してよダーリン




お母さんは『じゃあどうぞ、上がっていって』と、お客さん用のスリッパを玄関に出した。




すると『お邪魔します』と、沙絢ちゃんと紫音は家の中へと入ってきた。




お母さんは『リビングにどうぞ』とだけ言って、先にリビングへと行ってしまい、嵐が去ったような気分になった。




………だけど………嵐が来るのはこれからだった。




でも、あたしはもう嵐の前兆は始まっていたことに、まだ気が付いていなかった。




「キレイなお母さんだね。ていうか、お母さん若いよね!いくつなの?」


「36歳だよ。お母さん20歳の時にあたし産んだから」


「そうなんだぁ?若いお母さんいいなぁ」




こうやって人にお母さんのことを羨ましがられると嬉しくなる。


だから思わずニヤけてしまった。




沙絢ちゃんと紫音がスリッパを履いたのを確認し、あたしはリビングへ2人を案内しようとした。


………のだけれど。




.
< 171 / 426 >

この作品をシェア

pagetop