愛してよダーリン
お母さんは『じゃあどうぞ、上がっていって』と、お客さん用のスリッパを玄関に出した。
すると『お邪魔します』と、沙絢ちゃんと紫音は家の中へと入ってきた。
お母さんは『リビングにどうぞ』とだけ言って、先にリビングへと行ってしまい、嵐が去ったような気分になった。
………だけど………嵐が来るのはこれからだった。
でも、あたしはもう嵐の前兆は始まっていたことに、まだ気が付いていなかった。
「キレイなお母さんだね。ていうか、お母さん若いよね!いくつなの?」
「36歳だよ。お母さん20歳の時にあたし産んだから」
「そうなんだぁ?若いお母さんいいなぁ」
こうやって人にお母さんのことを羨ましがられると嬉しくなる。
だから思わずニヤけてしまった。
沙絢ちゃんと紫音がスリッパを履いたのを確認し、あたしはリビングへ2人を案内しようとした。
………のだけれど。
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