愛してよダーリン




階段を誰かが下りてくる音が聞こえた。




すると、あたしの後に付いてきてくると思った沙絢ちゃんと紫音の足が動くことはなく立ち止まり、




沙絢ちゃんの視線の先を見ると、そこにはあたしの部屋にいるはずの樹が階段を下りた所に立っていた。




「えっと……」




沙絢ちゃんは突然の男の登場に戸惑いを隠せないみたいだった。




そりゃあそうだよね。

樹のこと初めて見るんだもんね。




「あのね、この人は……樹って言って………あたしの……彼氏なの」


「え?あ、あぁ!奈緒ちゃんの彼氏かぁ!」


「う、うん」




自分の彼氏を紹介するのって、なんか恥ずかしい。


顔が火照ってきたような気もする。




樹はあたしのそばまで来て、耳の近くで小さく『拓海たちと約束してるからそろそろ帰る』と呟いた。




『分かった』と答え、樹が帰ろうとした……時だった。




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