愛してよダーリン




お父さんが落ち着いたのは、みんながご飯を食べ終わった頃で、ちょうど時間も時間だったから、沙絢ちゃんは帰ってしまった。




玄関まで行くと、見送りに来たお母さんに沙絢ちゃんは、



「色々ありがとうございました。ご飯までご馳走になっちゃってすみません。すごく美味しかったです」



と言って、頭をペコッと下げた。




「全然いいのいいの。またいつでも来てね」


「はい。また来ます」




マネージャーに電話をして家の前まで迎えに来てもらっていたみたいで、家の目の前で沙絢ちゃんとバイバイをした。




「奈緒ちゃん、またねぇ!」




車のドアを開けて、そこから少し顔を覗かせて手を振る沙絢ちゃんに、あたしも手を振り返した。





「ねぇ奈緒」


「ん?」




沙絢ちゃんの車が見えなくなるところまで行った時、紫音が突然口を開いた。




「…ううん、やっぱ何でもない」


「えー」


「気にしないで。じゃあ、明日は学校行くから、早めに寝るね。おやすみ」


「あ、うん。おやすみ!ばいばーい」




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