愛してよダーリン




あたしが起きてることに気づいてない2人は他愛もない話をする。




話をするって言っても、樹は基本あまりしゃべらないから、相づちを打つだけ。




きっとこれから撮影なんだろう。


だから2人で来たに違いない。




「つーかさ、今日夜何かある?」




なのに、樹が急にそんなことを沙絢ちゃんに言い出すから、消そうとしてる不安が更に膨らむ。




「え?何もないけど…」


「なんかさ、俺の周りのやつらが沙絢と遊びてぇって言っててさ、そっちの友達も連れてきていいから遊んでやってくんねぇ?」




……なんだ、そういうことか。


不安が少し消えた。




「そんなの全然いいよぉ。じゃあ適当にモデルの友達呼ぶねぇ」


「ありがとな。じゃあ、仲間の1人のケー番教えるから…」


「でも条件があるんだけど、いい?」


「条件?」


「樹くんも一緒に遊ぼうよ」




チラッと薄目で見て視界に入ってきたのは………距離が近い沙絢ちゃんと樹で。




沙絢ちゃんはいつもの沙絢ちゃんじゃなくて、まるで好きな人を見るような目で樹を見つめていた。




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