愛してよダーリン
『寝てる奈緒ちゃん起こすのも悪いし、撮影もそろそろ始まるし帰ろっか』
という沙絢ちゃんの声で、沙絢ちゃんと樹はあたしの部屋から出ていった。
ガチャッと音をたてて閉まるドア。
それと同時に、涙が溢れ出た。
あたしの気持ちには一切気がつかない樹がムカついた。
可愛くて性格良くて、非の打ち所がない完璧な沙絢ちゃんにもムカついた。
けど、別にフラれたわけじゃないのにこんなに泣いてる自分が情けなかった。
弱い自分が嫌になった。
1番、自分にムカついた。
しばらくは泣き続けた。
どのくらいかなんて分からない。
でも、泣き終わって目が悲惨な状態なときに限って紫音が来てくれて、そのときには、もう日が落ちて外は暗くなっていた。
「何、その目。殴られたみたいになってんだけど」
久しぶりに会ったような気がする紫音は、こんなときにも相変わらず毒舌健在だった。
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