愛してよダーリン




トイレの前では、樹の体に抱きつく沙絢の姿があった。




「あたし……樹くんのことが好きなの」


「……」


「奈緒ちゃんの彼氏だから、諦めたようとしたの。でもね?でも、どうしても諦められないの」


「……」


「だからね?」


「わりぃ」


「え?」




樹の口から出る言葉は分かってるから、あたしはここで黙って聞いてられる。




だけど、奈緒は告白するって知らない時でも、熱が出るくらい不安に思ってるんだから、


こんな告白の場面なんか見たら失神して倒れちゃうと思う。




だと思ったから、奈緒にはあえて告白のことは言わなかった。




奈緒は余計なことばっか考えて自分で勝手に追い詰めていっちゃうから、もう心配するようなことは言えない。




もうここはあたしが解決する。




てか、奈緒のためにしなきゃいけない。




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