愛してよダーリン




上を向けば天井が見えるはずなのに見えなくて、その理由は樹の顔があるからで……。




“え?”とも言えずに、重なる樹とあたしの唇。




唇は触れただけですぐに離れた。




「……ばーか」



ちょっと拗ねたような感じでそういう樹が、なんだか可愛い。




突然キスされて、何がなんだか分からないあたしは、目を大きく見開いて驚いたまま。




「な、何でバカ?!」


「バカはバカだろ。こんなときにそういう事言うな」




なに?こんなときって?

そういう事って?




「どういう事?」


「言わねぇ」


「何でよ。言ってよ」




内緒にされたら気になるじゃん。



それにキスされたんだもん。

しゃべってないと、顔がニヤけちゃいそうで怖い。




「可愛い事言うからだろうが」


「……ふぇ?」




え?え?え?

いま、何と?




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