愛してよダーリン
「もう1回、お願いします」
「は?言わねぇに決まってんだろ。てか、聞かなかった事にしろよ」
だってだって、あの樹が“可愛い”って!
もう1回くらい聞いとかないと、これから先聞けないかもしれないんだよ?
「やだー。ずっと覚えてるもん」
「忘れろ」
忘れられるわけないじゃない。
聞かなかった事にできるわけがないじゃない。
あたしはわざとうざったそうに、横にいる樹に言ってみせた。
……だけど、それが更に樹を暴走させるきっかけになっちゃったとは知らずに。
「お前、マジで熱あるからって調子乗んなよ?」
「調子なんか乗ってないしー。ていうか、そんな事言ってる樹のが可愛いよ?」
「マジで熱あってよかったな」
「え?」
仲直りできたはずなのに、樹はなんだか危険なオーラをプンプン発していて……。
またあたしは上を向かされ、あたしの顔の上には樹の顔。
怪しい笑みを浮かべる、樹の顔。
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