愛してよダーリン
だけど、少し歩いたら。
「夜は寄り道しないで帰れよー!ラブホなんて許さねぇからなー!っつって!」
「奈緒ちゃーん、樹に襲われんなよー?夜になるとオオカミになっちゃうからなー!」
さっきの2人の大きな声が繁華街に響き渡り、
樹はその声を聞くと小さく“チッ”と舌打ちをして、『あいつら…』とイラついてた。
あたしは穴があったらすごく穴に入りたい気持ちになった。
絶対あたし顔赤い。
だって恥ずかしいもん。
もう穴があったら今すぐにでも穴に入りたーい!!
しかも寄り道しないし!
ら、ラブホなんか行かないし!
襲われないし!
オオカミにならないし!
ありもしない下ネタを大勢の前で叫んだあの2人の度胸を、逆に尊敬する。
これだから、ああいう厳つい人たちはあたしが予想つかない事ばっかりするから苦手なの。
……それは今日の樹もそうだけど、それはまたそれで良い意味の驚きだから良い。
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