愛してよダーリン




「うるせぇよ。やっと奈緒ちゃんに話しかけれたんだから静かにして」



拓海という銀髪の男の子は、顔には似合わない低く甘い声で、

周りの不良たちにそう言った。



すると、不良たちは呆れたように『はいはい』と返事をして、さっきよりは静かになった。




だけど本当にこの空気は………気まずい。


あたしはどうしたらいいんだろう。



昼休みがもうすぐ終わるから教室に帰ろうとしただけのに、


拓海くんが急に呼び止めたりするから…………



って。

大事なこと忘れてた!



「あ、あたし戻らなきゃ!」


「え?」


「あたしもう教室に戻らなきゃ!この後の教科、単位ギリギリだから遅刻できないの!」



次の教科の数学は苦手で、せめて単位だけでもちゃんと取っておかないといけない。



だからあたしは、拓海くんに呼び止められたにも関わらず、


走って教室まで行こうとした。



「あ、ちょ!待って!」



そしたら、拓海くんに再び呼び止められた。




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