愛してよダーリン




わざと樹にピタッとくっついて彼女アピールもしてみるあたし。




へへー。

自転車の後ろに乗れるなんて彼女の特権だよねー。

しかも背中にしがみつけるっ。



あたしは完全に浮かれてた。




……15分ほど自転車に乗ると、ある1軒家の前で自転車は止まった。




「もしかして……ここが今樹が住んでる家?」


「あぁ。ばあちゃん家」




そっかぁ。

ここが樹が今住んでる樹のおばあちゃん家なのかぁ。




「さすがに家には来れなかったんだな」


「だって住所見たって分からないもん。……迷ったら嫌だから」


「じゃあ俺が高校にいなかったらどうしたんだよ」


「…電話したもん」




とりあえず高校であんなことがあったけど会えたんだからよかったじゃん。



って思うのはあたしだけかもしれないから、ここは言わないでおく。




あたしは荷台から降りて、樹は自転車を庭の空いてる場所に移動―――……しようとしたとき。




樹の携帯の着信音が鳴った。




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