愛してよダーリン




ごく普通の公園。




………だけど、まだ公園の中に入る前に2人の男女の姿が目に入った。




別にいつもならカップルがいちゃついてるんだなって思って、その場をすぐに立ち去るんだけど。




今日はそうも行かなかった。




「助けてよ……」

「……」

「ねぇ助けてよ、樹…」




見覚えのある銀髪。

見覚えのある横顔。

あたしの大好きな……名前。




それに2人の男女はよく見てみると抱き合っていて、女の子の方は力強く抱きしめているようだった。




でも樹じゃないかも。

今銀髪が流行ってるのかもしれない。

樹に似てるけど、樹と同じ名前だけど、樹じゃないかもしれない。




でも、少し体を離した女の子は…………明らかに莉加ちゃんで。




なんかもう、完全に相手は樹なんだって実感させられた気がした。




その瞬間手の力がフッと抜けて、買ってきたドレッシングが入った袋をその場に落としてしまった。




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