愛してよダーリン
片道だけで1時間もかかるのに、樹は嫌な顔せず送ってくれた。
それだけであたしはすごく嬉しかったのに、
樹は『家まで送ってく』と言って、家まで送ってくれた。
もうあたしの家に着いたときには夜の9時30分になってて、
玄関から出てきたお母さんが、心配して『明日学校でしょ?遅いし送ってく』と言ったのに、
樹は『奈緒、じゃあまたな』とだけ言って、歩いて帰ってしまった。
きっと樹が家に着くのは、夜の10時30分過ぎになっちゃうのに。
それなのに送ってくれて、改めて樹の優しさを実感した。
………それから2日が経ったある日。
知らない番号から電話があって、恐る恐る出てみると、その電話は莉加ちゃんからだった。
莉加ちゃんは樹が言ったことを同じように全部話してくれて、
最後に『ごめんね。奈緒ちゃんとは、良い友達になりたかった』と言って、電話を切った。
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