愛してよダーリン
なんとか落ち着いたところでほんとに帰ることになり、あたしと樹は歩いて駅に向かった。
駅に着き、樹は切符を買う。
樹が買ってる間、あたしは樹の背中にピタッとひっつき、後ろから樹を抱きしめた。
「お前何してんの?」
「だって寂しいんだもん」
すでに夜の10時を越えてるから駅には人が全然いなくて、こんなことやっててもちっとも恥ずかしくない。
「おい、」
「なに?」
「離せ」
「やだ」
「早くしねぇと電車乗れねぇ」
恥ずかしくないけど、樹が帰れないから、あたしは素直に樹から離れた。
あ、でも離れなければ、逆に帰れないってことだよね。
そう思い付いて、改札口に向かう樹の背中にもう1回抱きついた。
「帰れねぇんだけど」
「帰らなきゃいいじゃん」
「バカ。どこで寝んだよ」
「あたしん家に泊まればいいじゃん」
「パンツがねぇよパンツが」
「お父さんのパンツ履けばいいじゃん」
そうだよ。
夏休みなんだし、泊まっていけばいいんだよ!
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